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■国際金融論(Ⅰ、Ⅱ部)講義概要

国際金融論(Ⅰ、Ⅱ部)講義概要授業のテーマ、目的:わが国および国際的な金融・通貨問題について、現実におきた事象を分析し、その理解を深めるために、理論的枠組みの検討、制度的仕組みの理解、歴史的考察を行うことを目的とする。

授業内容:「国際金融論」と一口に言っても幅広い。それは、ミクロ分析からみた金融論を開放経済に拡張したアプローチ、マクロ経済を開放経済に拡張したオープン・マクロのアプローチ、そして国際経済学の一部を構成するアプローチといった、異なる諸側面を持つ。単なる外国為替論にとどまらず、理論的にもかなり広い範囲をカバーするものである。
 広い領域を扱うという面から言っても、また、現実を分析する上での理論、制度的アプローチを重視するという面からも、国際金融論は世界の経済情勢、金融情勢を常に把握する必要のある、極めて現実的かつチャレンジングな分野であると言える。
 前期においては、国際収支のマクロ経済的意味合い、外国為替市場の仕組み、通貨制度と金融政策、為替レートの決定理論、マンデル=フレミング・モデルなどの理論的フレームワークと、国際通貨制度の歴史について検討する。
 後期においては、金融の国際化とBIS規制、EMUの進展、アジア通貨危機、国際資金フローの変化と通貨危機、通貨危機の理論、IMFの役割と国際金融アーキテクチュアーについて検討する。

授業計画:(毎回授業中にhand-out配布)

       前期
        
     第1回  イントロダクション
           国際金融論とは何か
     第2回  国民所得と経常収支
           GNPとGDP、ストックとフローの概念、開放経済と経常収支
           経常収支と貯蓄・投資、経常収支と対外資産
           経常収支の4つの側面
     第3回  国際収支表の作り方
           居住者と非居住者の概念、
           複式簿記と国際収支表、企業会計との相違
           実現主義と市場価格
     第4回  3極の国際収支の動向
           わが国の経常収支、資本収支の動向
           輸出入構造の変化と国際収支の構造変化
           国際資本移動の激化と国際収支
           アメリカ、EUの国際収支動向
     第5回  外国為替市場と為替レート
           国際決済のメカニズム、外国為替市場の仕組み
           取引コストと媒介通貨、n-1問題
           直物レート、先渡しレート、スワップ取引、オプション取引
     第6回  外国為替介入と金融政策
           先渡し相場とカバー付き金利平価
           外国為替介入と実際
           外国為替介入と金融政策:マネー乗数アプローチ
           ハイパワードマネーとマネーサプライ、不胎化政策
     第7回  為替制度と金融政策
           金本位制のメカニズム、グレシャムの法則
           プライススピーシー・フロー・メカニズム
           金本位制とカレンシーボード、固定相場と金融政策の自律性
           第一次世界大戦以前の通貨システム(国際金本位制)
     第8回  為替レートの決定理論(長期的理論)
           絶対的購買力平価と相対的購買力平価(PPP)
           内外価格差と購買力平価
           マネタリーアプローチ、貨幣数量説
     第9回  為替レートの決定理論(短期的理論)
           金利平価説、アセットアプローチ
           リスクプレミアム、ケインズの美人投票
           国際収支と相場、Jカーブ効果
           マーシャルラーナーの安定条件
     第10回 マンデル=フレミング理論
           閉鎖経済でのIS・LM曲線
           変動相場制下の金融政策と財政政策の効果
           固定相場制下の金融政策と財政政策の効果
           固定相場制下の平価切り下げの効果、政策割当理論 
     第11回 わが国の通貨制度の歴史
     第12回 戦後ブレトンウッズ体制と変動相場制、政策協調のあり方

       後期

     第1回 イントロダクション
     第2回 ブレトンウッズ体制
     第3回 欧州統合について(歴史的経緯と深化)
     第4回 欧州通貨制度、EMUと東西ドイツ統合
     第5回 ユーロシステムの金融政策
     第6回 金融の国際化
     第7回 BIS規制について
     第8回 各国の金融制度と制度の競争
     第9回 通貨危機の発生プロセス
     第10回 通貨危機の理論、通貨の交換性と資本取引規制
     第11回 円の国際化をめぐる動き
     第12回 アジア諸国の通貨制度のあり方 
     第13回 途上国を巡る国際金融問題とIMFの役割
     第14回 国際金融アーキテクチュアー

     
参考文献(工事中)